孵化直後の幼生は頭部にカギ爪状の突起を持っており、
泳いで魚類などの鰓に取り付き、プランクトンを摂取します。
約5mm程度の1枚貝の形状まで成長すると、宿主を離れて底生生活に移行します。

底生生活に移ったホタチは、海底を這いまわりながら、
貝類を見つけると刺胞を出して捕食します。

成長したホタチは海棲の小型哺乳類に寄生します。
しかしながら1枚貝の形状であるため、
ホタチの多くは寄生する前に食べられてしまいます。
ラッコは腹部に獲物を載せる習性があるため、
宿主の多くがラッコであることが観察されています。

腹部に取り付いたホタチは触手を伸ばし、宿主から養分を吸収すると共に、
宿主にホタチナーゼというホルモンを送り込みます。
ホタチナーゼは宿主の脳に作用し、宿主にホタチで他の生物を切りつける行動を取らせます。
ホタチはそこから養分を吸収して成長します。

充分に成長したホタチは2枚貝の形状となって、
宿主が陸に上がった際にはがれ落ちます。

はがれ落ちたホタチは、夜になると口を開きマタタビラクトンという成分を放出します。
マタタビラクトンは猫科動物の神経を興奮させ、恍惚状態にさせる効果があります。
猫科動物が体をこすりつけている間にホタチは猫科動物に張り付きます。
(貝を開いて張り付きホタチが2枚になるため、この形態をフタチと呼びます。)

ホタチナーゼの働きにより、猫科動物は他の陸上生物に切りかかります。

宿主と他の生物の養分を充分に吸収してホタチが成長すると、
ホタチナーゼの濃度が高まり、宿主は海水を嗜好するようになります。

海水はホタチナーゼと反応し、宿主は痙攣をおこします。
弱った獲物と勘違いした大型海棲哺乳類に捕食されることで、
ホタチは最終宿主にたどり着きます。

主にトド類が最終宿主となり、大きな剣状の突起(ダイケン)を形成し、
ホタチに寄生された宿主は、この剣状突起を他の生物に突き刺す行動を取ります。
そこから養分を吸収し成熟したホタチは
100万~200万個の卵を産んでその生涯を終えます。

                            おわり

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